リークディテクタHELIOT900シリーズのコントローラ(TabletPC)の表示・反応に不具合と思われる症状が確認された場合に、ユーザーで行える対処法はありますか?
コントローラ(TabletPC)の画面に関する不調の場合に、ユーザー様で現在のsoftware(アプリ)をUpdateしていただく事は可能です。
最新版アプリ、作業方法(日本語、英語)はHPよりダウンロード可能です。
アプリUpdateで症状が改善しない場合には、申し訳ありませんが最寄りサービス拠点までお問い合わせください。
HELIOT900 Tablet Software Updateはこちらです。
HELIOT900series【有線専用仕様】とは何でしょう?
有線専用仕様はWi-Fi使用禁止エリア向けの仕様です。HELIOT本体にはWi-Fiモジュールを搭載しないため、無線通信での使用はできません。(標準仕様ではHELIOT本体のWi-Fiモジュールは常に電波を発信します)
HELIOT900series【パネルマウント仕様】とは何でしょう?
パネルマウント仕様は、システム制御盤に固定するタッチパネルディスプレイ仕様です。標準仕様のコントローラ(TabletPC)は付属しません。また、HELIOT本体のWi-Fiモジュールは搭載しません。
パネルマウント仕様を選ばれた場合には、本体とタッチパネルディスプレイの間のPLCケーブル(別売)が必要です。2.5m,5m,10m,15mをご用意しています。
HELIOT900series Wi-Fiの電波をOFFにできますか?。W-Fi電波の発信が禁止されているエリアで使用します。
コントローラ(TabletPC)はWi-Fi電波をOFF設定可能ですが、HELIOT本体のWi-Fiモジュールは常に電波を発信しています。本体にWi-Fiモジュール非搭載した「有線専用仕様」を指定して頂くか、またはWi-Fiの代わりにBluetooth接続の対応はご提案できますので、お問い合せ下さい。
HELIOT900series コントローラ(TabletPC)に付属するmicroSDカードの容量はいくつでしょうか?。MicroSDカードの容量は変える事ができますか?
8GBが付属します。SDXC 最大2TBまで使用可能です(現行品:型式RTC-700RKの場合)また、microSDカード未装着の場合には内部storageをデータの保存場所として使用します。
HELIOT900series SniffeBS(BT)ユニットを接続すると「ピラニ測定子断線」エラーがでます。
Snifferユニットのケーブルを[SNIFFER]ではなく、間違って[PIRANI]に接続している場合に同症状が出ます。
HELIOT900series 機器の設定をリセットする機能はありますか?
はい。工場出荷時の設定に戻す事が可能です。起動開始前に、取扱説明書5.SETTING_5-1.一般_12) 設定呼出・保存の機能で[初期化]を行います。
HELIOT900series 起動時間を短くする事はできますか?
はい。感度校正を行わずに約2分で起動する事ができます。起動後にも感度校正を行う事はできます。取扱説明書5.SETTING_5-1.一般_7) 校正_起動時の初期設定[ON]を[OFF]にします。
HELIOT900seriesオートゼロ機能(テスト画面内スイッチ[-0- ZERO])はいつでも使用して良いでしょうか?
「オートゼロ」機能はサーチガス(ヘリウムまたは水素)を使用する前でかつ、バックグラウンド値が安定している状態で使用します。(取説8.テスト_8-4.-0- ZEROボタンと機能について )
HELIOT900series 真空法でリークレートが*.**E-11Pa・m3/sや*.**E-12Pa・m3/sになるのを、*.**E-10Pa・m3/sのままで使用したい。
リークレートの指数表示範囲を設定する事が出来ます。(取説8.テスト_8-1.テスト画面_7.測定レンジ)テスト画面[グラフ]は設定ボタンが表示していませんが、他のテスト画面で設定すればグラフ画面でも有効になります。
HELIOT900series 真空法で[ウルトラフロー]になるまでの時間を短くしたい。
テストフローが初期設定[オートモード]の場合、テストフロー[ウルトラフロー固定]でお試しください。
HELIOT900series テスト終了時に表示する[Finalize Processing]は何でしょうか?。
測定データをmicroSDカードに保存している事をお知らせしています。測定データの保存設定(初期設定:0.2sec)を[保存なし]にすると表示はしません。取説5.設定_5-1.一般_10)GAUGE LOG
HELIOT900series リークレートの短時間のふら付き(ギザギザ)を抑えて表示する設定はありますか?
はい。表示のデータ処理条件を切り替える機能があります。取説5.設定_5-2.表示_6)リークレートフィルター
HELIOT900series ドライポンプモデル(901D2,904D3,904D4)は停止操作後にポンプから大きな音が3回ほどしますが、故障でしょうか?
いいえ。正常動作です。ドライポンプの内部に残る水分を排出するガスバラスト処理を行っています。大きな音が3回繰り返しますので、HELIOT本体の主電源はその後にOFFにしてください。
ヘリウムガスは無くならない?
校正リークは差圧による透過現象を利用して微小なヘリウムガスを出力しています(詳細は「校正リーク豆知識:校正リークとは」をご参照ください)。
とても少ない量を少しずつ放出しているため、使い続けても半永久的に使用することができます。
ただし、ここで勘違いしてしまうことがあるのですが、放出されるヘリウムガスの量(以下 流量)は変化していきます。
少ない出力と言っても密封された校正リーク内部に閉じ込められているヘリウムガスは減っていきます。
校正リーク本体にラベルが貼ってあり、そこに減衰特性として数字が記載されています。
これは1年間、普通に使っていただくと流量がその数値%分だけ減る可能性があることを示しています。
購入または再校正してから経過した期間を把握しておくと減衰量はある程度予測できることになります。
ちなみにガラスと強調しているのは校正リークを落としたり衝撃を与えて内部のガラスが破損した場合は、密封していたヘリウムガスが無くなってしまいますので一気に使用できなくなります。
校正リークを手で軽く振ってもらって、カラカラ音がしたら中でガラスが割れている可能性がございます。
ガラスが割れないように取り扱いはご注意ください。
計測器としての管理方法
HELIOTはヘリウムの量を計測する機器。計測するんだから計測器。
というわけでHELIOTを計測器として管理しているお客様がいらっしゃるかもしれません。
実はその考え方は、少し間違っています。
校正リークの豆知識も併せてご覧いただけると一層ご理解いただけると思いますが、HELIOTは計測器ではなく、排気系装置、設備寄りの製品です。
そもそもHELIOTは計測器ではないのでHELIOT自体を計測器と登録してしまうと計測器の校正と排気系としてのオーバーホールが混在してしまい、管理がとても難しくなります。
監査の時に先月オーバーホールしたということで安心していたら、校正していないのでは?と指摘されてしまうなど...
では、どのようにして管理するべきでしょうか。
HELIOT内部に校正リーク(詳細は校正リーク豆知識をご参照ください)が内蔵されています。
計測器として登録が必要であれば、この校正リークを登録するのが正しい管理方法です。
HELIOTは排気系装置としての運用、定期的なオーバーホールを行う管理、内蔵校正リークは計測器として定期的な校正を行う管理ということになります。
無料ダウンロード |リークテスト要領書作成にお困りの方へ 要領書 雛型
リークテストの手順をまとめた要領書の雛型を提供致します
用途に合わせてカスタマイズし、ご使用ください
皆様は、リークテストの要領書をどのように作成されているでしょうか。
ご購入いただいているリークディテクターにも寿命があり、載せ替え、買い替えの場合には、費用の算出に加え、マニュアル類の更新に於いてもご不便をお掛けしているかもしれません。
そこで、ご担当者の方の負担を少しでも軽くできればと思い、ULVAC製HELIOT900シリーズを使用した、リークテスト要領書の雛型を作成しました。
こちらを自社の内容にカスタマイズしてご使用いただき、ご活用いただければ幸いです。
また、ご要望等ございましたらお気軽に ist_team_cs@ulvac.com までご連絡をいただければと思います。
注意事項:本資料の実測値データに関してはあくまでも参考例のため、使用される場合には、数値等を自社の基準に合わせたうえでご使用ください。
内蔵ロータリーポンプのオイル交換タイミング
ロータリーポンプのオイルは役割的に人間で例えると血液、自動車で例えるとエンジンオイルとなります。
ただし油回転真空ポンプには人間でいう肝臓、自動車でいうオイルエレメントのように汚れを除去するフィルタ機能を備えていません。
よってオイル自体の定期的な交換が必要となります。
0.5から1.5が許容範囲。
2.0から2.5になったらオイル交換をご検討ください。
該当する型式は型式末尾がW1かW2になります。オイルレベルゲージの位置は図の通りです。
ただし、オイルの色相以外にも経年によって酸化などが進んでいることがございます。
使用不使用に関わらず少なくとも6か月に1回はオイル交換をお勧めします。
今ご使用のHELIOTのオイルの状況を確認されてはいかがでしょうか。
複合分子ポンプの回転中、HELIOTを動かしてはいけない理由
HELIOTをご使用後、電源を落とすため停止させる際に、毎回内蔵複合分子ポンプの回転状況が表示され、表示が消えるまでHELIOTを動かしてはいけない事を不思議に思っている方もいらっしゃると思います。
これは真空排気するために複合分子ポンプ内部では回転翼を内壁ギリギリにものすごいスピードで回転させているためです。
その回転数は90,000rpmです。これは1分間に90,000回転しているということです。
なんと1秒間に1,500回転しています!!
自動車エンジンの回転数と比較すると、10倍以上の数値です。
高速回転の状態で外からの衝撃や移動による揚力がかかると、内壁に回転翼が接触してしまい、回転翼の破損につながります。
このような高速回転ができる精密な部品は、壊れた際の修理代や部品代が高額になってしまいます。
取扱いにはご注意ください。
開梱時・設置時の注意事項
開梱時・設置時の注意事項
つり上げ禁止:アイボルトなどが備えられない構造となっているため、運搬時にはつり上げないようにお願いします。
水平維持 :HELIOTの開梱時や設置時に、HELIOT本体を30度以上傾けないようにご注意ください。オイル漏れや機器破損の原因となります。
通気確保 :HELIOT内部の冷却を目的に空冷ファンが内蔵されています(左パネル:吸い込み、右パネル:吹き出し)。
空冷ファンの通気口をふさがないようHELIOTの周囲(前後左右及び上面)に200mm以上の間隔を保ってください。
また重量物になりますので持ち運びや移動の際は十分気を付けてください。
注:各機種の重量 ( )内はフロアカート付きの重量です
リークテストに使用するヘリウムガス濃度
ヘリウム濃度によるテスト結果の違い
ヘリウムガスと一言で言っても濃度によっていろいろな種類があります。
窒素ガスなどと混合されたヘリウム50%のものや、99.9%のヘリウムガスや、99.9999%のヘリウムガスなど様々です。皆さんはリークテストでどのようなヘリウム濃度のガスをご使用でしょうか?ヘリウムの濃度により、リークテストの結果は変わります。
ヘリウム濃度50%のガスと99.9%のガスではヘリウムガスの濃度差が約倍です。そのため、同じ漏れ箇所を測定した場合、99.9%のガスの方が50%のガスより約倍のヘリウム流量がHELIOTに表示されることになります。
99.9%だからよい、50%だからダメという言うわけではありません。なるべく同じ条件(同じ濃度のガス)でリークテストを継続することが大事です。
ヘリウムの純度は高い方がいいの?
また、よくご質問頂くのは99.9%の一般的なヘリウムガスと99.9999%の純ヘリウムガスでの比較になります。結論を言うとほぼ変わりません。
両方を比べた際、桁数が倍以上違いますし99.9999%のガスは非常に高価なので、「99.9999%の方が質の高いリークテストができるのでは」とお考えの方もいらっしゃるかと思います。
しかし、このヘリウムガス濃度の違いは1%以下の話になります。
このくらいの違いであればどちらの濃度のヘリウムガスでリークテストを行っても結果が変わることはありません。両方お持ちであれば比較的安価な99.9%ガスでリークテストを行ったほうが経済的です。現在リークテストにご使用中のヘリウムガス濃度について、一度 確認されてはいかがでしょうか。
バックグラウンドが下がらないときの対処法
バックグラウンドが下がらなくなる理由
大量のヘリウムガスを一気に吸引してしまうとHELIOT内部にヘリウムガスが残存してしまい、それが抜けきるまでバックグラウンドが下がりづらくなる事があります。
さらにHELIOT内部に汚れなどが蓄積していると、その汚れにも付着し、汚れに付着したヘリウムガスはさらに抜けきるまで時間がかかります。
バックグラウンドが下がらないときの対処法
バックグラウンドが下がらなくなってしまった際の対処方法は主に二つあります。
HELIOT単体(テストポートブランク)でテストを継続する方法と、テスト・ベント動作を数回繰り返す方法です。
またHELIOT900にはフォアラインに残留したヘリウムガスを追い出すことができるクリーンアップ機能が搭載されています。
それでも状況があまり良くならない場合は、テストスタンバイ時にテストポートを開放し、そのままテストスタートしてください。テストポートから大量の大気を吸い込ませることで残存ヘリウムを追い出す効果を高めます。
ただし長時間行うとHELIOT内部へのダメージが考えられるので、最長3分間を目安に実施してください。
自動感度校正について
校正方法選択
HELIOT900を使用するとき、電源を入れてからタブレット画面でスタートボタンをスライドして感度校正を行っていただいているかと思います。
この際、HELIOT900の中では内蔵校正リークを使用して、ヘリウムガスの流量を正しく測定できるように様々な準備をしています。
ですが、すぐにリークテストしたいときや、漏れが有るか無いかだけをささっと見たいだけ、という状況もあると思います。
そんな時に便利なのが、自動感度校正の校正方法選択です。
MENU>一般>校正>起動時 をOFFにすると、感度校正を行わず排気系立ち上がりと同時にテストスタンバイ状態になります。
感度校正を行わない場合の注意点
ただし、感度校正を行わない場合は、前回起動時の感度校正結果をそのまま引用しています。
厳密に言うと、前回の感度校正結果を得た時と、HELIOT内部の状況や環境の状況などが全く同じということはありませんので測定結果の正確性を犠牲にしていることを覚えておいてください。
そのため、少なくとも4回起動に1回は必ず感度校正を行う事をお勧めします。
HELIOTの歴史 | セレクトフリーフローシステムの歴史
簡単に誰でも使用できるリークディテクタ、HELIOTは開発とモデルチェンジを重ね、ユーザビリティは勿論、性能も向上してきました。
HELIOTの性能アップに一役買っているのが、アルバックの独自技術であり、「簡単に誰でも使用できる」を実現したセレクトフリーフローです。
セレクトフリーフローもシリーズを追う毎に、性能が向上しています。その中でも特にめざましいターニングポイントは、最新シリーズのHELIOT 900シリーズのモデルチェンジです。
下の表をご参考にその変遷に目を通すと、HELIOT 900シリーズからテストバルブ1(TV1)の名称が、ファインリークからウルトラリークに、テストバルブ2(TV2)がミドルリークからファインリークに変更されています。
その理由こそ、測定範囲・接続可能圧力が向上したからです。
HELIOT 900シリーズのリリースで、ヘリウム測定範囲・接続可能圧力が大きく向上しました。その結果、表記に若干の違いがあるものの、710シリーズのTV1とHELIOT 900シリーズのTV2の値がほぼ同等になりました。
つまり、900シリーズのTV1は、ファインよりも更に上の新たな名称であるウルトラとなったのです。
ちなみに、TV3のグロスリークは変わっていません。
また歴代のTV2、ミドルリークの名称も無くなっています。これはグロスリークの性能が以前のミドルリークレベルまで至っていないからです。
もしかするとHELIOT 次世代シリーズでは、グロスリークにとって代わって再びミドルリークになってる"かも"しれません。その時はヘリウム測定範囲に注目してみてください。
テストバルブ(TV)の名称と性能の変遷
*1: 感度は標準時、実機表示表記
HELIOTが簡単に誰でも使える理由
HELIOTは開発段階から、簡単に誰でもリークテストができる、ユーザーフレンドリーなディテクタとしてご愛用いただいております。
しかし、HELIOT開発以前のリークテストは、専門知識を持った技術者しかできませんでした。なぜ、HELIOTのリークテストは「簡単に誰でも」が実現しているのでしょうか。
その答えは、HELIOTの中にはアルバック独自(*1)の「簡単に誰でも」を実現するセレクトフリーフローというシステムが採用されているからです。
その仕組みを簡単に説明すると、リークテストの際に吸引した圧力によって、導入するポートを自動で選択するシステムです。
吸引した圧力によって、まず3つのポートを自動選択します。
排気系統図では、この導入ポートがテストバルブ、TVと言う名称で用意され、各ポートは3つのテストバルブに相当します。
TV1: ヘリウム感度が良く、圧力が低い
TV2: ヘリウム感度が中程度、圧力が中程度
TV3: ヘリウム感度が悪く、圧力が高い
ANAがガスを分析する分析官の役割を担い、近ければ近い導入ポートの方が小さな漏れを検知できます。つまり、ヘリウム感度が良くなるイメージです。
ただし、TV1に接続するにはターボポンプへ導入するため、ある程度圧力が低くなくてはターボポンプが壊れてしまう恐れがあります。よって、吸引された圧力によって、導入ポートが選択される仕組みになっています。
ちなみに、HELIOT 900シリーズの各導入ポートのヘリウム測定範囲、ヘリウム導入可能圧力は、それぞれ次の通りです。
TV1: 0.01E-12~-06(Pa・m3/s)/2(Pa)以下
TV2: 0.01E-10~-05(Pa・m3/s)/100(Pa)以下
TV3: 0.01E-08~-03(Pa・m3/s)/1200(Pa)以下
*1: 特許第 2655315 号。現在は公開技術。
HELIOTの名前の由来
アルバックのヘリウムリークディテクタHELIOTは、アルバックの製品の中でも珍しく"名前"が付いています。
この名前にはどのような由来があるのでしょうか。
HELIOTの初代シリーズであるHELIOT300シリーズが販売される少し前、1991年の湾岸戦争で配備されたパトリオット(Patriot:愛国者)ミサイルというアメリカ製のミサイルがありました。
もちろん、ミサイルや湾岸戦争、愛国といった他意やアルバックとの関係は一切ありません。
しかし、その音感を引用し、ヘリウムを意味するHeと組み合わせ、
He + riot = Heriot ≒ HELIOT
「ヘリオット」の名前が付きました。
――ヘリオット。
まるで、ミュージカルに出てくる中世の男性のイメージですよね。
HELIOT900シリーズの特長
【使い易い最高性能】
- 圧倒的なHe排気速度
- タブレット型コントローラによる利便性UP
- ― 最高レベルの測定感度・最小可検出リーク量:<5E-13Pa・m3/sec
― 無線リモート制御が標準機能
― 保守作業が容易な構造
― 起動、停止時間が早い
― 移動し易い高機能モバイルカート
― 前710シリーズと互換性確保
-
- 豊富なポンプラインアップ
- ― 30L/min(油回転真空ポンプ) ~ 500L/minスクロールドライポンプ
特長1:圧倒的なHe排気速度 5L/secの効果
・排気時間が早くなる
・バックグラウンドの下がりが早くなる
・バックグラウンドを安定させ、低く抑える事ができる
・真空装置の漏れ検査では、リークディテクタ側へのヘリウムの吸引量が大きくなり、小さい漏れを見つけやすくなる
特長2:使い易さ タブレット型コントローラ
・好きな場所に『置いて』使う新提案
・本体とのケーブルを外せば無線リモコンとして使用可能
・シンプルで判り易い各種画面
特長3:使い易さ 移動性、保守性、起動時間
- 高機能モバイルカート
- ― コンパクト設計
― 凹凸のないパネルカバー
― 大径の車輪
― 段差越えに便利なフット板
― 足踏み式ストッパブレーキ
- メンテナンスが簡単
- ― 監視機能による保守時期の自動アナウンス(特許第4057896号)
― 手順解説の動画をタブレット画面で確認しながら作業可
― 工具不要で外せる保守パネル
― 交換式の保守部品
-
- 起動、停止時間が早い
- 最短2minで使用可能
停止<30sec
水素機能搭載
水素リークテストにも対応
HELIOTはサーチガスとして「水素」が使用できますか?
はい。HELIOT900seriesおよび710seriesに「水素モード」(真空法)を搭載しています。
Sniffer法で周辺大気のヘリウム濃度が上がっているか確認する方法はありますか?
簡単な方法としては、屋外などのヘリウム未使用環境の空気をビニール袋で確保し、ビニール袋にSnifferプローブを挿入して確認できます。
リークディテクタのレンタル(有償/無償)は行っていますか?
ヘリウムガスを使用した漏れ試験の場合、ヘリウムガスの純度はどれ位の品質が必要でしょうか?
ヘリウムリークディテクタは100%純度を想定した漏れ量で表示しています。混合ガスを使用した場合にはヘリウムと比例します。
一般的に流通しているヘリウムガスボンベは純度99.99%ですが、仮に99%に変えた場合約1%小さく表示します。
混合ガスで例えば[ヘリウムガス20%+窒素ガス80%]を使用した場合には、99.99%ヘリウムガスを使用した時に比べ20%の漏れ量で表示します。
真空装置装置への適用例などを教えてください。真空をある程度引いた後、漏れの部分を見つける試験方法はありますか?
真空装置では「真空吹き付け法」で行いますが、装置排気系も動かしながら使用します。真空チャンバ等にあるサービス用ポートにリークディテクタからのフレキシブルホースを接続する方法が一般的です。一般的には真空チャンバとリークディテクタの間に手動バルブを設け、真空チャンバとリークディテクタの双方が真空になっている状態で、手動バルブを開けてヘリウム吹付けを行います。注意するべきは真空チャンバ内に侵入したヘリウムが、全てリークディテクタに取り込める訳ではないので、実際の漏れ量よりも小さく表示する事です。
アルバックのリークディテクタを管理計測器として運用する場合はどのような事が必要でしょうか?。
ユーザー様の規定期間で、感度校正に使用している校正リークの再校正を実施して戴きます。再校正は、国家基準に紐づいた校正リークとの比較校正を行う専用の設備、教育を必要とするためユーザー様では行えませんので、弊社Gr.会社のアルバックテクノ株式会社でのみ可能です。校正リークの再校正サービスは、HELIOT本体のオーバーホールが必須ではございません。ユーザー様で取り外した校正リークをお預かりして、お戻しいたしますので、ユーザー様にて新しいラベル情報[漏れ量、校正日]をHELIOTに入力して頂きます。
真空吹付け法(スプレー法)でリークディテクタに表示されるリークレートが安定しない場合には、漏れ量はどのように判断すれ場良いでしょうか?。
リークディテクタでは漏れ箇所(穴)から侵入してくる気体が100%(100万ppm)のヘリウムガスとして表示します。真空吹付け法の場合にはスプレーガンを近づけてしっかり吹き付けると、最大値で安定した状態になります。その状態の漏れ量が、試験目的の漏れ量となります。
漏れ箇所の特定が可能な試験方法を教えてください。
加圧法の場合は「Sniffer法(吸い込み法)」です。真空法の場合には「真空吹き付け法(スプレー法)」が主流ですが、試験体の構造によっては「吸盤法(カップ法)」も利用可能です。
ヘリウムガスを透過し難いシール材(樹脂・ゴム系)はどの様な材質がありますか?
代表的なシール材でO-ring(オーリング)ではニトリルゴムより、フッ素ゴムの方がヘリウムガスのガス透過量は小さいので、良く使用されます。O-ringメーカでは独自にガス透過係数率に特化した製品を用意している場合もございます。
検査治具(金属製)には、そのような鋼材が適していますか?。
SUS304またはアルミが一般的に使用されます。ガス吸着性、耐久性(傷)の面でSUSは真空用配管、フレキシブルホースでも最も一般的な材質ですが、複雑な掘り込みが必要な治具の場合には加工のし易さからアルミを使用します。
Oリング内の拡散(透過)と漏れは、どのように区別したらよいでしょうか?
透過によるヘリウムの検出は、漏れによるヘリウム検出より遅く反応が出始めるため、ヘリウム使用からの応答時間で区別しています。可能であれば事前に透過が生じるまでの時間を把握し、その前に漏れ試験を完了するようにします。
多量のヘリウムガスを吸い込んだ影響でリークディテクタのバックグラウンドが下がらなくなってしまいました。どのような対処方法がありますか。
HELIOT900seriesでは、内部のヘリウムガスの排出を行うクリーンアップ機能が搭載されておりますので、お試しください。また、漏れ試験の判定後にヘリウムガスの吹付けを速やかに停止するなど、運用面で必要以上のヘリウムガスを吸わせない工夫で改善が可能な場合があります。
治具を使用した真空吹付け法(スプレー法)で、O-ringにヘリウムが浸透してバックグラウンドが高くなってしまった場合の対処方法。
O-ringの交換が最も有効です。一端ヘリウムの浸透してしまったO-ringも数時間の放置でヘリウムガスは抜けて再利用可能です。
リークディテクタ HELIOTシリーズで測定できるワークのサイズに上限はありますか?
現行モデルでは上限は設けていません。
※HELIOT300シリーズは、大きいワークの測定を行うと、規定時間内で粗引きが完了せず、Errorを発報させ測定工程に移りませんでした。
HELIOT700シリーズ以降の現行機においては、HELIOT内部の粗引き工程を見直す事で、規定時間を設けずに粗引きができるようになっています。その為、小型ポンプ搭載のHELIOTであっても、大きなワークの測定が可能となっています。また、機種による粗引き時間のシミュレーションも可能ですので、担当営業窓口にお問合せ下さい。
リークディテクタ HELIOTシリーズにおいてTabletの操作ができません。
Tabletの電源ボタンを長押しし、Tabletの再起動を行って下さい。
また、有線接続で使用している場合は無線接続での操作を試みて下さい。
無線接続で操作可能な場合は装置GNDの変動の影響が考えられますので、電源GNDの設置を確認して下さい。
リークディテクタ HELIOTシリーズの起動時にフォアポンプトリップが発生してしまう。
本機に供給する電源にコードリールを使っていませんか。コードリールを使用しない状態で起動確認をお願い致します。
改善が見られない場合には、お近くのアルバックテクノサービスセンタへお問い合わせ下さい。
リークディテクタ HELIOTシリーズの動作中に、停電が発生し機器が停止しました。故障しませんか?
故障は致しません。
ただし、停電後1~3分間は、複合分子ポンプの停止に時間がかかりますので、その間は機器を動かさないで下さい。電源が復帰し、初期画面を表示した際には、機器の再起動を行って下さい。
リークディテクタ HELIOTシリーズの本体とタブレットを接続するUSBケーブルは、市販品の物が使用できますか?
特別な配線形態となっている為、使用する事はできません。
起動時にErrorが発生し、起動が完了しません。
以下の項目について、ご確認して下さい。
・真空法の場合にはテストポートがブランク状態、スニッファー法の場合にはスニッファープローブになっていますか。
・入力電源のGNDがきちんと設置されていますか。
改善が見られない場合には、お近くのアルバックテクノサービスセンタへお問い合わせ下さい。
校正リークの校正に対して推奨する校正期間はありますか?
推奨期間は設けておりません。お客様による規定にて期間を設けて頂いております。
リークディテクタ HELIOT700シリーズを長期間使わなかった後に起動したところ、起動開始のボタンが出ず、Initializing状態が続いてしまう。
タッチパネルのソフトウェア内の設定が初期化された可能性があります。対象機器を操作できる環境にてサービスセンタにお問い合わせ下さい。
校正リークとは
リークディテクタやリークテスト、ALT(自動リークテスト装置)などのお話をすると必ずと言っていいほど"校正リーク"というキーワードが出てきます。
知ってる方は知っていると思いますが、"校正リーク"ってなに?なんで必要なの?なにしてるの?という方もいらっしゃると思います。
そこで、"校正リーク"とは何なのか、どんな役割を担っているのかを簡単にご紹介しようと思います。
ご興味ございましたらぜびご一読ください。
リークテストではリークディテクタを使用することがほとんどです。
リークディテクタはヘリウムなどのガスの流量を測定する機器です。
ここで測定という言葉が出てきました。
例えば長さを測定する際に皆さんは何を使いますか?定規やメジャーなどになると思います。
その定規やメジャーをよく見てみます。
目盛りがあって一番小さい目盛りは一般的には1mmだと思います。
1mmの長さは難しい話は置いておいて決まっています。
1mmが決まっていれば、その積み上げで10cm、1m、10m・・・と各々の長さがわかると思います。
ところがリークテストでいうヘリウムガスの1mmはリークディテクタだけではわかりません。
リークディテクタはヘリウムガスを見つけることはできますがそれがどのくらいの流量なのか、実はわかりません。
え?今使ってるディテクタはヘリウム流量が分かるよ?とおっしゃる方もいると思います。
それは何故かと言いますと、リークディテクタの中に"校正リーク"が内蔵されているからです。
"校正リーク"にはその構造や原理、使用用途の違いでメンブレン型とチャネル型があり、HELIOTですとメンブレン型の校正リークが内蔵されています。
(その特徴などについては別項目の「校正リーク メンブレン型の構造」、「校正リーク チャネル型の構造」をご参照ください。)
またALTなどではリークテストNGの基準としてNGワークなどとともに"校正リーク"がマスターなどの呼び名で用いられることもあります。
"校正リーク"からは決まった流量のヘリウムガスが共有されます。
その出力された流量とリークディテクタが見つけたヘリウムガスの流量を比較して、値付けしているのです。
長さで例えると、"校正リーク"から出力されるヘリウムガスは100mとわかっています。
リークディテクタで見つけたヘリウムガスが100mの1/20だったとすると100m/20で5mなんだと値付けするイメージです。
無料ダウンロード | リークテストの基礎ガイド
リークテストをより正確にする必携書!
『リークテスト基礎ガイド』のススメ
ヘリウムガスを用いたリークテストを日頃、携わっておいででしょうか?
ヘリウムリークテストは微小な漏れを比較的短時間で簡便に、しかも定量的に評価できる手法です。その利便性から、食品・医薬品パッケージや半導体から自動車・航空機、更には宇宙工学、原子力工学に至るまで幅広い分野に利用されています。
ヘリウムリークディテクタは今から80年ほど前に開発されました。現在ではタッチパネルの簡単な操作で合否判定まで行える全自動機が主流となりました。
長い歴史の中で様々な開発、改善、改良がなされましたが、漏れ箇所の特定、漏れ量の測定や許容漏れ量の検討には「漏れ」に対する正しい知識と理解は必要不可欠です。
アルバックはお客様に業務をより効率的に、正確に、そして快適に遂行していただきたい思いから、「漏れ」に対する基本知識を簡潔にまとめました。
『リークテストを始める前に必ずおさえておきたい、リークテストの基礎ガイド』をダウンロードできるのは、こちらのページだけ。
このコンテンツに含まれるもの
- 漏れの基礎 (1) | 漏れの定義
- 漏れの基礎 (2) | 漏れの基本式と単位
- 許容漏れ量のもとめ方 (1) | 時間経過による圧力変化からの計算方法
- 許容漏れ量のもとめ方 (2) | 真空排気による到達圧力からの計算方法
- 応答性の計算方法 |リーク量の応答と時定数τ
- システム感度校正の手法
- ガス濃度による漏れ量の違い
- 感度校正 (1) | 感度校正の仕組み
- 感度校正 (2) | 機器の感度と測定値の関係
漏れの定義と単位
ヘリウムリークディテクタは、ヘリウムガスを使用した漏れ検査(以下、ヘリウムリークテスト)において、漏れ量や漏れ箇所の特定を行うための検査装置です。ヘリウムリークテストは、漏れ検査の中でも感度的に最も優れ、かつ微小な漏れに対しても短時間で精度よく検査ができるため、各種配管構造の部品全般、電子デバイス、空調、冷凍機、自動車関連などの生産ラインをはじめ、食品・薬品包装、医療機器など、漏れ検査が必要とされるあらゆる分野で使用されています。
■ 漏れの定義
壁の孔を通って気体が移動する現象
■ 漏れの単位
Pa・m3/sec (パスカルリューベパーセック)
- 単位時間[sec]に移動した気体体積(絶対圧力[Pa]×容積[m3])
- ごく小さい値なので一般的に有効桁数2~3桁の指数で表記 (*.**E-*Pa・m3/sec)
- 計算記号はQ
他の流量単位との換算
・Torr, atm はSI単位系でないので日本国内では使用不可
・例えば2.5E-8Pa・m3/secの場合には、口頭では「2.5の8乗」と省略される場面が多い。
■ 産業別の検査レベル(目安)
リークテストとは
ヘリウムリークテスト
リークディテクタを使用し真空中のヘリウム分圧の変化から漏れを検知する測定方法をヘリウムリークテストといいます。
他の検査方法が、体積、圧力、真空度などで判断するのに対し、作業者のスキルに依存することなく圧倒的な高感度・高精度が得られます。
漏れが小さくなっても、判定時間を長く取る必要はないので早い検査が可能です。
また、ヘリウムガスは安全で不活性、環境にも優しいクリーンな検査ができます。
ヘリウムリークテスト以外のリークテスト
(1)加圧テスト
(2)真空テスト
各リークテスト方法の特性比較
■ 各検査方法の特徴
ヘリウム漏れ試験方法
ヘリウム漏れ試験方法は「JIS-Z2331」により、代表的な手法が規定されています。
(1)真空吹付け法(スプレー法)
・試験体内を真空排気し、吹付けプローブを用いて試験体外側にヘリウムガスを吹付け、試験体内に漏れてきたヘリウムガスを検出する方法。
・微小漏れ箇所の検出に最適であり、比較的小さな漏れの検出に適用するが、試験体全体の漏れ量の定量化が必要な場合は、真空外覆法の採用が望ましい。
(2)真空外覆法(真空フード法)
・試験体内部を真空に排気し、試験体外側をフードで覆い、フード内にヘリウムガスを満たし、試験体内に漏れてきたヘリウムガスを検出する方法。
・真空排気可能な試験体全体のリークを見落としなく検出し、漏れ量の定量化ができるが、漏れ位置は特定できないので、漏れ位置の特定が必要な場合は、真空吹付け法を用いる。
(3) 吸込み法(スニッファー法)
・試験体内部をヘリウムガスで加圧し、漏れ箇所から外部に漏れるヘリウムガスを、リークディテクタに接続した吸込みプローブで吸引し、漏れを検出する方法。
・次に示すような漏れ位置を特定するのに有効な方法である。
・大気圧より高い圧力で漏れ検査を実施する場合
・形状が複雑で試験箇所を被覆できない場合
・加圧積分法で大きな漏れがある場合で、その漏れ位置を特定する場合
(4)加圧積分法
・試験体をヘリウムガスで加圧し、漏れ箇所から外部に漏れるヘリウムガスを、試験部を覆ったフード(被覆材料)で捕集し、これをリークディテクタに接続したスニッファープローブで吸引し検出する方法。
・漏れたヘリウムガスを一定時間ため込み、濃度を上げる方法のため、吸込み法に比べ小さな漏れの検出に有効である。また、大気圧より高い圧力で高精度で漏れ検査を実施する場合に適している。
(5)吸盤法(サクションカップ法)
・試験体を部分的に真空にして行う方法。
・大型真空容器、その他圧力容器などで、製作過程や製品の状態によって全体を真空や加圧することができない場合に適用できる。
・適用例
・大型の真空容器の製作過程での行程中確認検査
・局部的な漏れ有無の確認検査
(6)真空容器法(ベルジャー法)
・試験体を真空容器(ベルジャー)の中に入れ、その外周を真空に排気し、検査品の内部を大気又はそれ以上にヘリウムガスで加圧し、漏れを検出する方法。
・真空法と同様な高い検出感度を得る事が出来るので、加圧法におけるスニッファー法及び加圧積分法と比較して、高い検出感度を要求する場合に適用する。ただし、漏れ位置を知ることができないため、漏れ位置を知る事が必要な場合はその他の検査法を検討しておく必要がある。
(7)浸せき法(ボンビング法)
・試験体をボンビング(加圧)タンク内に入れてヘリウムガスで一定時間加圧放置した後、それを取り出し、真空チャンバー内で試験体外側を真空排気する。もし、試験体にリークがあればヘリウムガスの加圧時に幾らかのヘリウムガスが試験体の中に入り、これが真空中に出て来る。これをリークディテクタで検出し、漏れが見つける方法。
・内部空間が真空又は空気若しくはガスで充填された密閉容器(例えば、パッケージIC、水晶振動子など)の封止効果又は気密性を判定する方法として適用する。
(8)微圧法(※)
・圧力差に弱い製品に対し、ULVACではプリケーションの開発に取り組み、各方面で実績を積んでいます。ヘリウムにより高精度かつ高速な検査を実施する事が可能となっています。
吸引ポンプを使用したスニッファー法に近い排気系から構成され、LD接続圧力以上の高い圧力条件でのテストを可能にしました。圧力は任意で設定が可能です。
〇密閉品への応用例:薬品包装、医療用包装など
〇吹付け法への応用例:圧力差に弱い容器など
(※)微圧法はULVAC の造語です
テスト方法の決め方
(※)微圧法(ULVACの造語):圧力差に弱いWork向けのULVACアプリケーション
ヘリウムリークディテクタの原理と構造
(1)ヘリウムガス特性
(2)機器構造
(3)分析管
磁場偏向型質量分析
- ① イオン生成(イオンソース)
- ・分析管に到達した気体分子がフィラメントの熱電子により+電荷のイオンに変換
・加速電圧により、一方向に加速移動
- ② イオン選別
- 1. +の電荷を持ったイオンが磁場を通過する事で軌道が曲がる『フレミングの左手の法則』現象
2. この時点で気体毎の質量により軌道が分かれる
・He(質量数4)が中心軌道に調整
・質量数3は自然大気中に極めて少ない、質量数5は存在しないので、質量数4の識別が容易
- ③ イオン収集(イオンコレクタ)
- 1. +の電荷を持ったHeイオンのみ電極板に到達
2. Heイオンの量に応じた微弱電流が流れる
真空中のHe分圧レベルに応じてイオンコレクタの電流値が変動する
(4)主排気真空ポンプ
複合分子ポンプの採用と逆拡散現象による効果
分析管の圧力は維持しながら、テストポートをより高い圧力で接続することができる。
※逆拡散現象:Heなど排気し難い小さな気体分子の一部が分子ポンプを介して分析管まで到達してしまう現象
(5)校正リーク
分析管のHe分圧レベルを漏れ量単位に変換する為の「漏れ基準器」
メンブレン型 真空法用/E-7, E-8, E-9, E-10 Pa・m
3/sec台
Heを内蔵。硝子を透過する現象を利用。温度係数、経年減衰係数を持つ。
チャネル型 主にスニッファー用(真空法も可)/E-4, E-5, E-6 Pa・m3/sec台
Heを外部より供給。真空法ではHeを大気圧(差圧0.1MPa)で使用。比較的大きな漏れに適している構造。
(6)感度校正
機器(LD)が検出可能な最小電流値が示す、漏れ量のことを感度といい、数値が小さい程、感度が良い。校正リークの定測により、感度校正を行う。
(7)最小可検リーク量
標準空気リーク量で表される最小のリークで、リークディテクターで明確に検出できるもの。
(8)基本動作(真空法:Auto Flow)
(9)基本動作(スニッファー法)
Work内部にHeを充填加圧して、外部(大気中)に漏れ出てくるHeを検知する方法。
テストポートにスニッファーユニットを取り付けて使用します。スニッファーユニットによりLDテストポートは、TV2で連続運転可能な圧力に維持されています。
プローブ先端のオリフィスで圧力制御する一般的なタイプの他に、アルバックでは吸引用ポンプを搭載したタイプもあります。
リークディテクタ取り扱いの注意点
(1)運転中の振動を与えない
ターボ分子ポンプは高速で回転しているため、振動のある場所で使用したり、運転中に機器を乱雑に移動したりする事はターボ分子ポンプの破損に繋がります。
リークテスト時の注意点
(1)Heは確実に
風にHeが流されない様に空調、ダウンフローにも注意。 ※
真空吹付け法の他、スニッファー法でも注意が必要 (2)漏れ箇所探しは、順番も大事
Heは軽いガスなので、上に移動します。Heの吹付け量も少なくしないと、場所のと特定が困難になります。
※真空吹付け法は上から、スニッファー法は下から
(3)測定時の時定数
Workの形状により、LDで検出するまで時間がかかる事があります。
※スニッファー法ではホース長で反応速度が変わります
(4)Heを使い過ぎない。適切な使用量
Oリング含むゴム材等は一箇所に連続してHeを使用すると「透過」現象が起こります。
一端、透過してしまったOリングは一定時間放置して再利用可能ですが、必要以上のHe使用は控えましょう。
※微小漏れを検査する時には、特に注意が必要です
(5)スニッファー法の環境整備
大気を吸引するスニッファー法では大気中のHe濃度(バックグラウンド)が検出下限を悪くします。
※検査後のHe放出、加圧配管接続ミスにも注意が必要
(6)ZERO補正の適切な運用
He使用によって生じた「変化量」が「漏れ量」です。その為、バックグラウンドとして表示している数値を0.0にする「ZERO補正機能」により、より正確な漏れ量を表示させる事が可能です。
※バックグラウンドと判定値が数桁違う場合は、影響が少ないので無視できます。ZERO補正はバックグラウンドが安定した状態で使用します。
ヘリウムガスを透過し難いシール材(樹脂・ゴム系)はどの様な材質がありますか?
代表的なシール材でO-ring(オーリング)ではニトリルゴムより、フッ素ゴムの方がヘリウムガスのガス透過量は小さいので、良く使用されます。O-ringメーカでは独自にガス透過係数率に特化した製品を用意している場合もございます。
検査治具(金属製)には、そのような鋼材が適していますか?。
SUS304またはアルミが一般的に使用されます。ガス吸着性、耐久性(傷)の面でSUSは真空用配管、フレキシブルホースでも最も一般的な材質ですが、複雑な掘り込みが必要な治具の場合には加工のし易さからアルミを使用します。
Oリング内の拡散(透過)と漏れは、どのように区別したらよいでしょうか?
透過によるヘリウムの検出は、漏れによるヘリウム検出より遅く反応が出始めるため、ヘリウム使用からの応答時間で区別しています。可能であれば事前に透過が生じるまでの時間を把握し、その前に漏れ試験を完了するようにします。
多量のヘリウムガスを吸い込んだ影響でリークディテクタのバックグラウンドが下がらなくなってしまいました。どのような対処方法がありますか。
HELIOT900seriesでは、内部のヘリウムガスの排出を行うクリーンアップ機能が搭載されておりますので、お試しください。また、漏れ試験の判定後にヘリウムガスの吹付けを速やかに停止するなど、運用面で必要以上のヘリウムガスを吸わせない工夫で改善が可能な場合があります。
治具を使用した真空吹付け法(スプレー法)で、O-ringにヘリウムが浸透してバックグラウンドが高くなってしまった場合の対処方法。
O-ringの交換が最も有効です。一端ヘリウムの浸透してしまったO-ringも数時間の放置でヘリウムガスは抜けて再利用可能です。
リークディテクタ HELIOTシリーズで測定できるワークのサイズに上限はありますか?
現行モデルでは上限は設けていません。
※HELIOT300シリーズは、大きいワークの測定を行うと、規定時間内で粗引きが完了せず、Errorを発報させ測定工程に移りませんでした。
HELIOT700シリーズ以降の現行機においては、HELIOT内部の粗引き工程を見直す事で、規定時間を設けずに粗引きができるようになっています。
その為、小型ポンプ搭載のHELIOTであっても、大きなワークの測定が可能となっています。
また、機種による粗引き時間のシミュレーションも可能ですので、担当営業窓口にお問合せ下さい。
リークディテクタ HELIOTシリーズにおいてTabletの操作ができません。
Tabletの電源ボタンを長押しし、Tabletの再起動を行って下さい。
また、有線接続で使用している場合は無線接続での操作を試みて下さい。
無線接続で操作可能な場合は装置GNDの変動の影響が考えられますので、電源GNDの設置を確認して下さい。
リークディテクタ HELIOTシリーズの起動時にフォアポンプトリップが発生してしまう。
本機に供給する電源にコードリールを使っていませんか。コードリールを使用しない状態で起動確認をお願い致します。
改善が見られない場合には、お近くのアルバックテクノサービスセンタへお問い合わせ下さい。
リークディテクタ HELIOTシリーズの動作中に、停電が発生し機器が停止しました。故障しませんか?
故障は致しません。
ただし、停電後1~3分間は、複合分子ポンプの停止に時間がかかりますので、その間は機器を動かさないで下さい。電源が復帰し、初期画面を表示した際には、機器の再起動を行って下さい。
リークディテクタ HELIOTシリーズの本体とタブレットを接続するUSBケーブルは、市販品の物が使用できますか?
特別な配線形態となっている為、使用する事はできません。
起動時にErrorが発生し、起動が完了しません。
以下の項目について、ご確認して下さい。
・真空法の場合にはテストポートがブランク状態、スニッファー法の場合にはスニッファープローブになっていますか。
・入力電源のGNDがきちんと設置されていますか。
改善が見られない場合には、お近くのアルバックテクノサービスセンタへお問い合わせ下さい。
校正リークの校正に対して推奨する校正期間はありますか?
推奨期間は設けておりません。お客様による規定にて期間を設けて頂いております。
リークディテクタ HELIOT700シリーズを長期間使わなかった後に起動したところ、起動開始のボタンが出ず、Initializing状態が続いてしまう。
タッチパネルのソフトウェア内の設定が初期化された可能性があります。対象機器を操作できる環境にてサービスセンタにお問い合わせ下さい。
校正リークとは
リークディテクタやリークテスト、ALT(自動リークテスト装置)などのお話をすると必ずと言っていいほど"校正リーク"というキーワードが出てきます。
知ってる方は知っていると思いますが、"校正リーク"ってなに?なんで必要なの?なにしてるの?という方もいらっしゃると思います。
そこで、"校正リーク"とは何なのか、どんな役割を担っているのかを簡単にご紹介しようと思います。
ご興味ございましたらぜびご一読ください。
リークテストではリークディテクタを使用することがほとんどです。
リークディテクタはヘリウムなどのガスの流量を測定する機器です。
ここで測定という言葉が出てきました。
例えば長さを測定する際に皆さんは何を使いますか?定規やメジャーなどになると思います。
その定規やメジャーをよく見てみます。
目盛りがあって一番小さい目盛りは一般的には1mmだと思います。
1mmの長さは難しい話は置いておいて決まっています。
1mmが決まっていれば、その積み上げで10cm、1m、10m・・・と各々の長さがわかると思います。
ところがリークテストでいうヘリウムガスの1mmはリークディテクタだけではわかりません。
リークディテクタはヘリウムガスを見つけることはできますがそれがどのくらいの流量なのか、実はわかりません。
え?今使ってるディテクタはヘリウム流量が分かるよ?とおっしゃる方もいると思います。
それは何故かと言いますと、リークディテクタの中に"校正リーク"が内蔵されているからです。
"校正リーク"にはその構造や原理、使用用途の違いでメンブレン型とチャネル型があり、HELIOTですとメンブレン型の校正リークが内蔵されています。
(その特徴などについては別項目の「校正リーク メンブレン型の構造」、「校正リーク チャネル型の構造」をご参照ください。)
またALTなどではリークテストNGの基準としてNGワークなどとともに"校正リーク"がマスターなどの呼び名で用いられることもあります。
"校正リーク"からは決まった流量のヘリウムガスが共有されます。
その出力された流量とリークディテクタが見つけたヘリウムガスの流量を比較して、値付けしているのです。
長さで例えると、"校正リーク"から出力されるヘリウムガスは100mとわかっています。
リークディテクタで見つけたヘリウムガスが100mの1/20だったとすると100m/20で5mなんだと値付けするイメージです。